攻めの中華。 ~中華があれば生きていける。 【大阪Chi-Fu編】 – GOOD EAT CLUB

カート

カートは空です

買い物を続ける

ちょいよそ行きのハレの中華があれば、
昼めし、晩めし、シゴト帰りの一杯飲み……と、
みんな中華が大好き! 

なかでも独創性に富むイノベーティブなレストランには
代々受け継がれてきた伝統を守りながら、
「攻めの中華」を具現するシェフの姿が。 

ひと皿に込められた個性の塊を、
味わい尽くしてほしい。

Tabebito

東浩司
1980年生まれ。20歳で料理の道に進み、赤坂の【維新號】で6年、家業でもある新橋の【ビーフン東】で料理長として6年研鑽を積み、2012年に同店をオープン。数式と感性の合わせ技で我が道を行く、明日の中華料理の担い手。
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つつみをほどいた瞬間、湯気が立ち上がって、こうばしい匂いがひろがった。

こだわりの醤油で炒められたツヤツヤ光るご飯の上では、どっしりとしたフカヒレが圧倒的な存在感を放っている。一口ほうばると、意外と歯ごたえがあるフカヒレは小気味のいい音を立て、あっという間に舌の上で消えていく。

ご飯もフカヒレも素朴な味でお互いが決して邪魔をしない。そして、はじめて食べたのになんだか懐かしい味がする。こんな相性抜群の組み合わせがあったなんて、どうして今まで気づかなかったんだ。思わず悔しくなるほど美味い。

その時、ふと疑問に思った。台湾家庭料理の「ちまき」と高級中華の「フカヒレ」一見遠いところにあるこの異色の組み合わせは一体どこから生まれたのだろう?

今回、フカヒレちまきの生みの親「Chi-Fu」の東浩司シェフに話を聞いてみた。

 

日本の食材を活かし、世界が羨む中華料理をつくりたい

中華料理の限界を広げようって思いでメニューやお店をつくっています。伝統を焼き直すというか。

例えば、回鍋肉のキャッベツは炒めるのが本当にいいのか改めて考えてみるんです。油を減らして野菜チップスみたいに乾燥させて、それをミルフィーユ状に何回も重ね、柔らかい肉とパリパリの野菜で食べても美味しいんじゃないかとか。

科学的なアプローチを入れながら、中華料理にフランス料理やエスニック料理の技術を掛け合わせて可能性を広げていくチャレンジをしています。今までやってきたことが本当に当たり前なのかどうかって考え直すことで、自分たちにしかできないことをやりましょうっていうのが、僕らの目標ですね。

最高の食材を使って、世界の人たちが羨むような日本でしか食べれない中国料理をつくりたいんです。

昔、中華料理の世界大会に出たことがありました。その時、中国人のつくる中華料理をどんなに真似しても、本国の彼らには一生勝てないと思ったんです。

それじゃあどこまで頑張ってもコピーにしかなれない。だったら彼らに肩を並べるための個性を持つにはどうしたらいいかって考えた時に、僕らが住んでいる日本の食材を活かした中華をつくろうと考えました。

『フカヒレ姿煮込み』気仙沼産のヨシキリザメの尾びれを白湯で丁寧に煮込む。『仁井田本家』の料理酒、『堀河屋野村』の三ツ星醤油、五島列島の塩、三年熟成のみりん……と、東シェフよりすぐりの生産者から調達した調味料で仕上げている。

 

おじいちゃんから孫まで安心できる、伝統の味

お店の歴史は祖父の代、明治20年くらいにさかのぼります。

祖父は金沢の加賀温泉というところで日本料理の料亭をやってました。そして日本軍が台湾などに進駐していくときに、日本帝国海軍のお抱えの料亭として台湾やフィリピンにお店を出すために移住したんです。

戦後日本に引き上げて来たときには、加賀温泉のお店は土地ごとGHQに持っていかれてしまいました。命からがら引き揚げて来たので、料亭をやる道具も場所もない。どうしようかと悩んだあげく、自分たちがいた台湾の家庭料理の店を出せばいいんじゃないかということで、カウンターだけの10席くらいの小さなお店を大阪ではじめました。

今のお店から少し歩いたところに当時のお店がありました。その後、父親がお店を引き継いで、諸々の事情で大阪は20年間休業にして東京に絞っていたのですが、僕が201 1年独立する際に再び大阪でお店をやろうと思って、そうしてオープンしたのがこの地下の「ビーフン東/Az」と一階の「Chi-Fu」です。

味へのこだわりは、よけいなものを入れないこと。必要最低限のものしかいれません。シンプルな素材の美味しさを追求しています。ひとつひとつの味作りや、食の安全性に対しての取り組みはどの店舗でも共通しています。「おじいちゃんから孫まで安心して食べれるものを作りましょう」ってのが、僕らが大切にしているコンセプトのひとつです。

今回紹介するちまきは、祖父の代のお店からあったメニューです。台湾にお店があったときに雇っていた台湾人のおばあちゃんの味がもとになっています。

戦後一緒に日本に引き上げて来たとき彼らに、祖父や父が台湾の家庭料理のつくりかたを教わったんです。細かい味付けは時代背景に合わせて、塩分や油、甘さを控えるなど調整をしてますが、おおもとの味はいじっていません。

冒頭で紹介した『フカヒレちまき』はお店では味わえないお取り寄せ限定の品。東京新橋のビーフン東の名物として70年以上、人々の間で愛されてきた台湾の家庭の味。皇室にも献上されている由緒ある一品

料理で使っている素材や調味料は、全国の生産者さんのもとをちゃんとまわって仕入れているので、僕らにとってすごく思い入れがあるんです。おいしいから使う。きっかけはそこなんですけど、使い続ける理由は、さらに思い入れや愛着があるから。実際に自分たちの目で見るとお店でお客様にお話するときに、何重にも深みが出ると思っています。

「あえてフカヒレをフューチャーするのには大きな理由があるんです」という東シェフ。中国の昔ながらの食文化である「乾物」がどんどん使われなくなっていく中で、文化を残していきたいという思いがあるからフカヒレを使った料理にこだわりを持っているとのこと。

 
革新は目的じゃない、伝統を守るための手段

今、街の中華屋さんで働きたいって人はなかなかいないんですよね。特に若い子とか。ただでさえ人口が減ってく飲食業は3Kって言われていて働きたい人が減ってる。

その中でもさらに中華っていうには、専門学校200人のうちの数人しか進まないんです。そうなると伝統を守る人間がいなくなってしまう。じゃあどうするって考えたときに、僕らが一番かっこいい中華のお店をつくろうよって思ったんです。

フレンチやイタリアンで働きたいと思っていた子でも、かっこいいから働きたいと思えるお店をつくれたら伝統を守ることだってできるかもしれない。革新的なことをやることは僕にとって手段なんですよ。目的じゃない。

じゃあ目的はなんなのかっていうと、伝統を守るためなんですよ。「Chi-Fu」では革新的なことに挑戦して攻めながら、伝統のある「ビーフン東」を守っている。その2つを同時にやっているのは、どっちも大事にしてるんだよって僕のメッセージなんです。
 

 

Chi-Fu

http://chi-fu.jp/

中国伝統の味や技術を土台にしながらも、枠に捉われない斬新な発想から生み出される料理を体験できるレストラン。店名の由来は「Chinois-Fume 中国の香気」、「Chinese Futurism中国の未来形」、そして中国語の師傅(シーフ)=先生、より。業界に一石投じるべく旗揚げした、東シェフの心意気が感じられるお店。
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つつみをほどいた瞬間、湯気が立ち上がって、こうばしい匂いがひろがった。

こだわりの醤油で炒められたツヤツヤ光るご飯の上では、どっしりとしたフカヒレが圧倒的な存在感を放っている。一口ほうばると、意外と歯ごたえがあるフカヒレは小気味のいい音を立て、あっという間に舌の上で消えていく。

ご飯もフカヒレも素朴な味でお互いが決して邪魔をしない。そして、はじめて食べたのになんだか懐かしい味がする。こんな相性抜群の組み合わせがあったなんて、どうして今まで気づかなかったんだ。思わず悔しくなるほど美味い。

その時、ふと疑問に思った。台湾家庭料理の「ちまき」と高級中華の「フカヒレ」一見遠いところにあるこの異色の組み合わせは一体どこから生まれたのだろう?

今回、フカヒレちまきの生みの親「Chi-Fu」の東浩司シェフに話を聞いてみた。

 

日本の食材を活かし、世界が羨む中華料理をつくりたい

中華料理の限界を広げようって思いでメニューやお店をつくっています。伝統を焼き直すというか。

例えば、回鍋肉のキャッベツは炒めるのが本当にいいのか改めて考えてみるんです。油を減らして野菜チップスみたいに乾燥させて、それをミルフィーユ状に何回も重ね、柔らかい肉とパリパリの野菜で食べても美味しいんじゃないかとか。

科学的なアプローチを入れながら、中華料理にフランス料理やエスニック料理の技術を掛け合わせて可能性を広げていくチャレンジをしています。今までやってきたことが本当に当たり前なのかどうかって考え直すことで、自分たちにしかできないことをやりましょうっていうのが、僕らの目標ですね。

最高の食材を使って、世界の人たちが羨むような日本でしか食べれない中国料理をつくりたいんです。

昔、中華料理の世界大会に出たことがありました。その時、中国人のつくる中華料理をどんなに真似しても、本国の彼らには一生勝てないと思ったんです。

それじゃあどこまで頑張ってもコピーにしかなれない。だったら彼らに肩を並べるための個性を持つにはどうしたらいいかって考えた時に、僕らが住んでいる日本の食材を活かした中華をつくろうと考えました。

『フカヒレ姿煮込み』気仙沼産のヨシキリザメの尾びれを白湯で丁寧に煮込む。『仁井田本家』の料理酒、『堀河屋野村』の三ツ星醤油、五島列島の塩、三年熟成のみりん……と、東シェフよりすぐりの生産者から調達した調味料で仕上げている。

 

おじいちゃんから孫まで安心できる、伝統の味

お店の歴史は祖父の代、明治20年くらいにさかのぼります。

祖父は金沢の加賀温泉というところで日本料理の料亭をやってました。そして日本軍が台湾などに進駐していくときに、日本帝国海軍のお抱えの料亭として台湾やフィリピンにお店を出すために移住したんです。

戦後日本に引き上げて来たときには、加賀温泉のお店は土地ごとGHQに持っていかれてしまいました。命からがら引き揚げて来たので、料亭をやる道具も場所もない。どうしようかと悩んだあげく、自分たちがいた台湾の家庭料理の店を出せばいいんじゃないかということで、カウンターだけの10席くらいの小さなお店を大阪ではじめました。

今のお店から少し歩いたところに当時のお店がありました。その後、父親がお店を引き継いで、諸々の事情で大阪は20年間休業にして東京に絞っていたのですが、僕が201 1年独立する際に再び大阪でお店をやろうと思って、そうしてオープンしたのがこの地下の「ビーフン東/Az」と一階の「Chi-Fu」です。

味へのこだわりは、よけいなものを入れないこと。必要最低限のものしかいれません。シンプルな素材の美味しさを追求しています。ひとつひとつの味作りや、食の安全性に対しての取り組みはどの店舗でも共通しています。「おじいちゃんから孫まで安心して食べれるものを作りましょう」ってのが、僕らが大切にしているコンセプトのひとつです。

今回紹介するちまきは、祖父の代のお店からあったメニューです。台湾にお店があったときに雇っていた台湾人のおばあちゃんの味がもとになっています。

戦後一緒に日本に引き上げて来たとき彼らに、祖父や父が台湾の家庭料理のつくりかたを教わったんです。細かい味付けは時代背景に合わせて、塩分や油、甘さを控えるなど調整をしてますが、おおもとの味はいじっていません。

冒頭で紹介した『フカヒレちまき』はお店では味わえないお取り寄せ限定の品。東京新橋のビーフン東の名物として70年以上、人々の間で愛されてきた台湾の家庭の味。皇室にも献上されている由緒ある一品

料理で使っている素材や調味料は、全国の生産者さんのもとをちゃんとまわって仕入れているので、僕らにとってすごく思い入れがあるんです。おいしいから使う。きっかけはそこなんですけど、使い続ける理由は、さらに思い入れや愛着があるから。実際に自分たちの目で見るとお店でお客様にお話するときに、何重にも深みが出ると思っています。

「あえてフカヒレをフューチャーするのには大きな理由があるんです」という東シェフ。中国の昔ながらの食文化である「乾物」がどんどん使われなくなっていく中で、文化を残していきたいという思いがあるからフカヒレを使った料理にこだわりを持っているとのこと。

 
革新は目的じゃない、伝統を守るための手段

今、街の中華屋さんで働きたいって人はなかなかいないんですよね。特に若い子とか。ただでさえ人口が減ってく飲食業は3Kって言われていて働きたい人が減ってる。

その中でもさらに中華っていうには、専門学校200人のうちの数人しか進まないんです。そうなると伝統を守る人間がいなくなってしまう。じゃあどうするって考えたときに、僕らが一番かっこいい中華のお店をつくろうよって思ったんです。

フレンチやイタリアンで働きたいと思っていた子でも、かっこいいから働きたいと思えるお店をつくれたら伝統を守ることだってできるかもしれない。革新的なことをやることは僕にとって手段なんですよ。目的じゃない。

じゃあ目的はなんなのかっていうと、伝統を守るためなんですよ。「Chi-Fu」では革新的なことに挑戦して攻めながら、伝統のある「ビーフン東」を守っている。その2つを同時にやっているのは、どっちも大事にしてるんだよって僕のメッセージなんです。
 

 

Chi-Fu

http://chi-fu.jp/

中国伝統の味や技術を土台にしながらも、枠に捉われない斬新な発想から生み出される料理を体験できるレストラン。店名の由来は「Chinois-Fume 中国の香気」、「Chinese Futurism中国の未来形」、そして中国語の師傅(シーフ)=先生、より。業界に一石投じるべく旗揚げした、東シェフの心意気が感じられるお店。

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贅沢したい日におすすめな、Chi-Fu名物づくし。それぞれが完成された味だが、一緒に食べてもぶつからず、最後まで食べ飽きない。姿煮込みやビーフンは、XO醬や黒酢でパワーアップさせるのがお気に入り!
もちもちとしたお米にフカヒレのコリっとした食感がアクセント。しっかり味なのにしつこさがなく、「また食べたい」と思い出してしまう、やみつきちまき。
深い味わいながらスッキリ。完食してしまう前に、フカヒレの切れ端と残ったソースに黒酢を少し入れて、〆のご飯またはあんかけそばに味変すれば、一気にかきこみたくなる究極メシの完成。