食も音楽も、作り手が正直でいることで愛されるんだと思う

食も音楽も、作り手が正直でいることで愛されるんだと思う

ふらっと入った近所の蕎麦屋で
食べたカツ丼セット。
それがおいしかった時の喜びって、
あるじゃないですか?

特別なものじゃなくても、
感情とともに記憶に残る食って
あると思うんです。

学生時代、テスト終わりに食べた
ミニストップのハロハロには
俺の青春が詰まってるし、
メジャーデビューのご褒美に
食べた回らない寿司にも感動した。

案外、そういうものの集積で
人生って成り立ってるんじゃないかな。

「美味しい」に答えなんてない。そもそも「美味しい」ということを評価すること自体が難しい。世界に一人のわたしが愛する、大切な食。それが、GOOD EAT(グッドイート)。

特集「わたしのGOOD EAT」では、この世にあまた存在する美味しいものたちを「美食」という枠に閉じ込めずに、一人ひとりの「愛」という軸で語ってもらう企画です。今回は、OKAMOTO’Sのボーカル オカモトショウさんにお話を伺いました。

「オカモトショウさん、あなたにとってのGOOD EATは、なんですか?」

ソーセージ屋のアルバイトで学んだこと

高1の終わりから大学1年の途中までお世話になったバイト先・豪徳寺のハムとソーセージの店「デリカテッセン トミナガ」で過ごした日々は、糧になってますね。

バイト中、ずっとJ-WAVEを聴いてたんです。繁忙期は週7でシフトに入っていたから、とにかくたくさんの音楽に触れることができて。今でも財産になってます。

トミナガでは、ドイツでハム作りを学んだ社長が、たくさんのこだわりを教えてくれました。「肉をマシンで混ぜるとき、途中で氷を入れるとハムに艶が出るんだよ」とか。そこで思ったのが、やっぱり、作るひとにも責任があるってこと。エネルギーや、文化的な遺伝子の継承って必要なんですよね。

誰に反対されても、大きなビジネスにならなくても、「責任を持ってモノを世に出す」っていう、作り手の覚悟が大事なのかなって。大量生産の工業製品にはない良さがあります。

ミニストップには俺の青春が詰まってる

もちろん、チェーン店も好きです。とくに思い入れが強いのは、ミニストップ! 

高校時代、放課後に寄るのが楽しみだったんですよ。ミニストップって、コンビニチェーンの中で唯一パフェ出してるじゃないですか? 俺、「ハロハロ」に超ハマった時期があって。コウキ(オカモト・コウキ)と一緒に、中間テストのご褒美にハロハロを食べに行ったのも鮮明に覚えてるなー

レイジ(オカモト・レイジ)が言うには「ミニストップはバイトのマニュアルがしっかりしているから、手間がかかるメニューでも出せるらしい」って。すごいですよね。まあ、ウソかホントかわからないんだけど(笑)。

ミニストップはホットスナックも優秀。中でも、絶対忘れちゃいけないのが「Xフライドポテト」! アレ、めちゃウマい! 最近は店舗が減っちゃってなかなか食べなくなっちゃいましたけど、ミニストップには俺の青春が詰まってました。

食も音楽も、作り手が正直でいることで愛される

俺も予約が何カ月も取れないような店も好きだし、行ったら行ったで「食はアートだ!」みたいな気持ちになるんだけど(笑)。ふらっと入った近所の蕎麦屋で食べたカツ丼セットがおいしかった時の喜びって、あるじゃないですか? 

特別なものでなくても、記憶に残る食。思い出とか、誰と行ったかとか、何となくその時の感情の記憶として食べ物って大事なんですよね。

コロナ禍で、個人店もテイクアウトとかやりだして大変だと思うんですけど、近所の人に愛されている店は、お客さんがちゃんと入ってる。結局、ファンがいれば大丈夫なんですよ。

音楽もそうです。今は自分もだし、ファンも締め付けやストレスがあるんですよ。やっぱ、救いが欲しいじゃないですか? そうなったときに、適当に済ませる場所よりも、行けるときには、ちゃんと好きな場所に足を運ぶはずだと思うんです。

今の世の中で新しいことを始めるのは、出会いの数が減っているから大変だと思うんです。でも、これまでやってきたものに嘘がなくて芯が通っていれば、今こそ強い力を発揮するんじゃないかな。こんな状況だと「流行りに乗って、こうすればビジネス的に成功する」っていうのがないでしょ? 今こそ、好きなことと向き合って、徹底的にやるしかない。食も音楽も、作り手が自分に正直でいることで愛されるんじゃないかな。

はっきりとそう思えるようになったのは、武道館ワンマン。「人気のバンド解散したけど、まだそこの穴が埋まっていないから、近しい音楽を作ったらパイがとれるんじゃないか?」とか、そういうマーケ視点の作り方を一切してこなかったんですよ。俺は俺の考えで、自分の足でステージに立っているし、そこにみんながついてきてくれると思っていたんです。

OKAMOTO’Sデビュー10周年で行われた、初の武道館ワンマンライブ。

とはいえ、10年目で武道館やるときに「ソールドアウトしなかったらどうしよう」っていう恐れはあって。無事に満員になったとき、本当に自信がつきましたね。「みんな好きって言ってないけど、俺はこれ超好きなんだよね」って思ってくれる人って、いるんですよ。その人たちがみんな集まってくれた結果かなって。

楽屋ごはんで印象深いのは「新田中」っていう、都立大学にあるお寿司屋さん。

写真提供:おとなの週末/カメラマン鵜澤昭彦

10代でメジャー契約が決まって、マネージャーさんに連れて行ってもらった、俺にとって初めての回らない寿司だったんですよ。イカの食べ比べとか、超細くスライスしたきゅうりがサクサクのかっぱ巻とか、「こんなに美味しいんだ!」って感動して

写真提供:おとなの週末/カメラマン鵜澤昭彦

OKAMOTO’Sが初めてリキッドルームでワンマンやったときに、ちらし寿司をケータリングしてくれたんですよ。普段はやってないのに、サプライズで。嬉しかったし、心温まる瞬間でした。

高くて美味しいお店もいいんだけど、こういう感情とともに記憶に残るような食が、やっぱりいちばん好きだったりするんですよね。

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