揺らぎや煌めきを感じる「七夕祭」をテーマにしたワインセット

ふたつめのワインセットのテーマは「七夕祭」。400年の歴史を持つ仙台の七夕祭には、この地方を繰り返し襲ってきた冷害がその根源にあり、苦しい時を乗り越え、豊作を願う人々の「祈り」がこめられているという。今の私たちもまた、長く暗い冬が過ぎ去り、希望の春が来るのを心から祈っている。それは七夕祭りに願いを託す人々の気持ちと、まさに重なるのだ。
今回選んだワインたちの共通点は、「揺らぎ」や「煌めき」だ。8月の仙台には爽やかな風が吹いていて、その風が色とりどりの短冊を美しく揺らしている──そんな情景が浮かんでくるようなワインを選んだ。
祭りの始まりを思わせる華やかなスパークリングワインに、光を受けて風に舞う短冊をイメージする白ワインと赤ワインを1本ずつ。残念ながら生産量の少ないワインばかりなので、36セットのみの販売となる。
日本人醸造家による、至極のスパークリングワイン
祭りを打ち上げる1本目の泡は、フランスのブルゴーニュ地方にある『ルー・デュモン』というワイナリーの『クレマン・ド・ブルゴーニュ・ブリュット』だ。
日本人醸造家の仲田晃司氏がリリースしたスパークリングワインで、高級シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵製法で手間隙をかけてつくられており、香りは華やかでありながらも味わいは優しく、飲み手をほっとさせる温かさを携えている。
仲田氏は、伝説の醸造家で「神様」とあがめられるアンリ・ジャイエに唯一認められた日本人だ。われわれは何度も彼の醸造所を訪問しているが、彼はワイン作りにまったく妥協がない。「ワインは畑から生まれる」ということを心から理解している方で、時間さえあれば畑に出て、葡萄と向き合う暮らしを続けている。
そんな彼が作ったスパークリングワインは、ブルゴーニュの大地への愛と、ワイン作りへの純粋な哲学が感じられる。是非味わってみていただきたい。
七夕飾りを揺らし、優雅さを演出する風のような白ワイン
2本目は、長野県小諸市にある『ジオヒルズ』というワイナリーの、珠玉のシャルドネを使った可憐な短冊のような白ワイン『カム・オン・シャルドネ』だ。ジオヒルズのGIOはベトナム語で「風」の意味を持ち、七夕飾りを揺らし、優雅さを演出する風のイメージそのものだ。
自社畑のシャルドネと、小諸市で2002年に植えられたシャルドネをブレンドし、ステンレスタンクで発酵・熟成して作られている。
畑のある御牧ヶ原は標高700mから800mほどで、昼夜の寒暖差がはっきりとしており、ブドウに豊かな酸をしっかりと残してくれる。グレープフルーツやパイナップルのような柑橘系の香織が感じられ、豊富なミネラルと余韻の酸を感じることができる。
細かい細工が施された「七夕飾り」のような赤ワイン
3本目には、日本人の木村滋久氏がニュージーランドで営むワイナリー『キムラセラーズ』から、『マールボロ・ピノノワール』という赤ワインをチョイスした。
このワインは、日本人の感性の繊細さをそのままボトルに閉じ込めたような、細工が施された七夕飾りのような作品だ。飲んだあとの余韻に「出汁」のような深い旨味があるため、和食にも美しくマリアージュするだろう。
この赤ワインは、飲むほどに作り手のもつワイン作りへの徹底的なこだわりと、精巧なペン画を描くような丁寧さ、繊細さが感じ取れる。
ただ繊細なだけではなく、ニュージーランドの大地を思わせる明るい光のような透明感、木村氏のワインへの熱い想いを写し出すような芯の強靱さも同時に備わっている。
作り手の人間性が、味わいや本質にどこかしら反映されるところも、ワインという酒の魅力といえるだろう。
日本人の繊細な表現が詰まったワインセット
七夕祭セットでは、どれも日本人が作っている、煌めく風の揺らぎを感じるような繊細で味わい深いワインたちをそろえてみた。
一日も早い「収束」への祈りを込め、七夕祭りのワインの煌きを、是非、和食とともにご自宅で味わってみてほしい。
七夕祭セットのキーワードは「揺らぎと煌めき」。日本人が作っている、煌めく風を感じるような繊細なワインたちをぜひ楽しんでほしい!