祇園祭のように、「伝統と革新」を重んじたワインたち

ひとつめのセットのテーマは「祇園祭」。最初のセットにふさわしい、一番スペシャルで王道な祭りをテーマとして選んでみた。祇園祭は伝統的な祭りだけれど、そこに関わっている人たちは新しい試みを続けている。そんな祇園祭ならではの「伝統と革新」というイメージを、この3本のワインは携えている。
このセットで選んだ泡・白・赤の3本はどれもフランスワインで、ボルドーとシャンパーニュ、昔ながらの産地の逸品だ。
300年以上前に製法が確立されたシャンパーニュ、世界遺産にも選ばれた古都サンテミリオン……。平安京から続く祭典と二重写しになる、ゆるぎない歴史に裏付けされた伝統美が、この3つのフランスワインに通底するイメージだ。
このセットの3本は、本当にスペシャルなワインたち。どれも神の雫ワインサロン・オリジナルワインから選んでいて、私たちが実際にワインを飲んでインスピレーションを得た言葉を名前としてつけ、ラベルも制作しているものだ。96セットをご用意したが、限定品で追加販売ができないので、気になる方はお急ぎあれ。
ロマンチックな味わいのシャンパーニュ「私を忘れないで」

1本目は、シャンパーニュ。やっぱり祭りのはじめには、泡を飲んでいただきたい。泡は一番華やかで、「さあ始めるぞ!」というスタートの瞬間にもっともふさわしいワインである。
最初このワインを飲んだときに、まず頭に浮かんだのは「クリスマスローズ」の花だった。クリスマスローズは、花壇の中で下を向きながら儚げに美しく花開いていて、あたかも「私を忘れないで」と訴えかけているような佇まいである。慎ましいけれど静かに、深い余韻を残すワインの雰囲気をそのままに、『私を忘れないで』という名前をつけた。
その名前のイメージのまま、どこかメランコリックでロマンチックな味わいと、印象的な香りと長い余韻を持っている。産地はシャンパンーニュ地方で、品種はシャルドネ。魚を始め、多くの食材に寄り添ってくれる。
多くの和食素材にマッチする「蜜柑色のスーパームーン」

2本目は、優しい味わいのセミヨン種中心の白ワイン。ボルドーにワイナリーを構え、「樽の魔術師」とまで呼ばれているエリック・モーラン氏が手がける逸品だ。
このワインで多く使用しているセミヨンというブドウ品種は、世界一の貴腐ワイン『シャトー・ディケム』とも同じ品種。だが製造方法が違うため貴腐ワインのような甘さはなく、すっきりとした辛口で、あとを引くちょっとはかなげな香りが魅力的である。
このワインを飲んだ瞬間、私たちは豊かなイメージに包まれた。それは、窓の外で明るく輝く美しい満月。蒼い月ではなく、穏やかで温かな蜜柑色の月。ワインを飲むとその月に向かって願いをかけたくなる……そんな物語が想起され、『蜜柑色のスーパームーン』と名付けた。
名前にもある通り、飲んだ瞬間、ほのかに蜜柑の香りが立ち込める。日本人に愛される温州蜜柑のような奥ゆかしい柑橘香が、多くの和食素材にマッチする。
10年の時が育んだ複雑さと包容力。「午後3時の太陽」

3本目には、2005年から10年間樽の中で熟成を重ねた、非常に貴重なボルドーの赤ワインを選んだ。10年の時が育んだ複雑さと包容力が、肉料理のポテンシャルを引き出してくれる。
シャトーのオーナーは『蜜柑色のスーパームーン』と同じくエリック・モーラン氏。ワイナリーを訪問した時、彼の奥さんが「採算が合わないからもう二度とやりたくない」と苦笑していた。試飲させてもらい、複雑で重厚な味わいに感動し、その場で在庫をすべてを買い取らせてほしいと申し出た。今後作られることのない、もう2度と買えない特別な1本だ。
飲んだ瞬間、大きく、力強く開ききっている太陽のように成熟したパワーを感じた。でもそれも、正午の太陽のような強さではなく、暮れなずむ直前の、最後の命の炎を燃やし尽くすような太陽のパワー……。その絶妙な太陽の感覚を表現したくて『午後三時の太陽』と名付けた。シンプルに、赤身肉のステーキなどに合わせてほしい。
名前通り「スペシャル」を詰め込んだセット
『私を忘れないで』『蜜柑色のスーパームーン』『午後三時の太陽』。
これらのワインはすべて、私たちが実際に飲んで、そのイメージに言葉を乗せて一つひとつに名前をつけた、まさに祇園祭のようにスペシャルなワインたちだ。
迷ったら、まずこのセットを選んでほしい。家族、恋人、そして大切な人たちと、食卓での華やかな祭りのひとときを楽しんでもらいたい。
祇園祭セットのキーワードは「伝統と革新」。古きよき産地の逸品を集めた泡・白・赤のセット。迷ったらまずこのセットを選んでほしい!