100年老舗の秘密の調味 こんぶ 土居「真昆布」

100年老舗の秘密の調味 こんぶ 土居「真昆布」

俺はアホだった......。
何十回も大阪へ来ていたのに、
知らないコトがあった。

かつて「天下の台所」と呼ばれた大阪には、
今もなお「CHOMI–調味-」に命を捧げる名職人たちが、
神のように存在していたのだ。

その男の名は、老舗の昆布専門店「こんぶ土居」
4代目店主、土居純一さん。
本物の「UMAMI」を次世代へ伝える立役者です。

真昆布に人生を捧げる親子のストーリー

大阪のだし文化に欠かせないのが「真昆布」の存在です。これはね、大阪に来ないと出合えない感動だと僕は思う。地元の割烹店などでは、真昆布と鰹節からとっただしの椀物をいただくこともしばしば。真昆布ならではのどっしりとしたうまみと上品な甘みは、この地へ来ないと味わえません!

それを、人は『浪速の喰い味』と呼ぶんです。「大阪の料理は、素材本来の味を生かしながら、さらに奥行きのある深みをつけます。真昆布でないと成り立たないんです」。そう話すのは、明治36(1903)年創業・こんぶ土居の土居純一さん。天然真昆布や真昆布加工品を扱う老舗の4代目です。

僕は、土居さんのものづくりに対するあくなき想いに共感しているんですよ。 

店主の土居純一さん。手に持つのは、道南・川汲浜で採れた最高級の天然真昆布(平成27年度産)。「最高の天然真昆布は、美しい飴色をしています」

知ってました? 日本の昆布は、その90%以上が北海道産なんです。

利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布などがある中、大阪の料亭や割烹などでは、真昆布をだしに用いることが多いのです。「ウチでは初代から真昆布のみに特化。中でも最高品質のものが採れる川汲(かっくみ)浜の天然真昆布を中心に扱ってきました」。

だけど、昭和40年代以降、現地では真昆布の養殖が盛んに。また、天日乾燥が主流だったところに機械乾燥が導入された影響から、品質が低下したこともあったそう。

そこで、3代目である純一さんの父・成吉さんが品質改善をするために、昭和57(1982)年から浜へ通いだしたんですって。「父の取り組みが土台にあり、僕は2003年から毎年現地を訪れ、漁師さんの手伝いを続けています」。

漁師さんとともに、昆布の水揚げをする土居さん。相当な力仕事だ

“いいものを作ってもらうには、信頼関係を築くのが重要”と考えられたのでしょう。父から息子へ。純一さんは今も毎年のように現地に赴き、大阪での昆布の重要性などを唱えながら生産者らと交流してらっしゃる。

ここまで熱心に、真昆布はもちろん、漁師さんや産地のことを思い続けて行動に移すとは、これはもう、父と息子そろって“あっぱれ!”ですよ。

『ほんまもんの食』を次世代へ伝えたい

採取・水揚げした真昆布は、乾燥の工程へと

土居さんは真剣に語り始めてくれた。「美食の世界を支え続けることも大切です。しかし令和の今、僕に課せられたテーマは『ほんまもんの食』を未来へ繋いでいくことだと思っています」。

伝統ある大阪の、いや日本の食文化を守り育てるためなら労力は惜しまない。僕はそんな土居さんのスタンスに、めちゃくちゃ感銘を受けているのです。

こんぶ 土居の奥にある厨房では、真昆布を軸にした商品の製造もおこなっているのです。土居さんが作り出す商品は、体の奥底にまでじんわ〜りと響く、滋味深さがあると思う。

おそらく、アミノ酸等の化学調味料などで人工的に強く味付けした食品に慣れた方は、物足りないと感じることもあるはず。だからこそ、自然の素材そのものの味を感じることができるのです。

店内には、厨房で丁寧に作られた自社製品がずらりと並ぶ

僕の大好きな商品のひとつに「本格十倍出し」がある。その名の通り、水で10倍に薄めるだけで、とても香りの高い吸い物ができあがるんです。さらに、煮物や炒め物といったいつもの料理が、ひと味もふた味も違うおいしさに!

土居さんは熱く語る。「このだしには、化学調味料や酵母エキスなどのうまみ調味料を一切使っていません! 道南産の真昆布、そして鹿児島の近海で獲れた一本釣り鰹にカビ付けをした本枯節、高知の完全天日塩のみを原料にしています」。

いい生産者が生み出すいい材料を、手間と技をかけて最高のだしに仕立てる。これこそ、便利でいて本物のだしというワケだ。

また、天女の羽衣のような、とろろ昆布「(上)白とろろ」もスゴい! 何がスゴいって、希少な天然真昆布を使い、昔ながらの製法でつくりあげた米酢だけで仕込んでいるというのだから。

さらには土居さんが「秘密の小ビン」と笑う、天然真昆布だけを使った「昆布粉」。これは偉大! 納豆や漬物の上にパパッとかけるもよし。鯛など白身魚にまぶすと、即席の昆布〆ができあがるという優れモノなのだ。

真昆布のうまみを生かした、まじりっけのない「ほんまもんのおいしさ」。これは大人だけでなく、子どもたちにも知ってほしい味ですよ。

このままでは絶滅!? 天然真昆布の危機を知ろう  

最高級の天然真昆布。水揚げが激減し、現在は在庫品で商売をしている状態

土居さんの話によると天然真昆布は今、危機的状況に陥っているんだそうです……。「養殖物は、十分採れているのですが……。真昆布の産地である函館・南かやべ漁協で、年間700t(平成26年)あった天然真昆布の水揚げ量が、令和2年には「t(トン)」で表現できない数量にまで激減したんです」と土居さんは困惑しています。

理由は、はっきり分からないらしい。地球温暖化による海水温の上昇、昆布を好物とする稚ウニの放流、護岸工事の影響などが考えられるが、どれも明確ではないのだそう。できる限りの手立てを、と土居さんは北海道大学や函館市の水産試験場にも足を運び、漁師さんにフィードバックしているとか。

そんな天然真昆布の現状を聞いて、何かお手伝いできることはないか、僕も考えています。「GOOD EAT CLUB」では日本のおだし文化を守るべく、天然真昆布など「日本のお宝食材」を育てていくサポートをするプログラムを企画していきたいと思います。またあらためてご案内しますのでよろしくお願いします。

まずは、天然真昆布本来の深みのあるおいしさを、味わい、知るところからこの問題を考えてみませんか。 

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土居さんのだしは、澄んだ風味と深いうまみを感じさせつつ、スーッと身体に優しく沁み入るんです。一度使ったら、その味わいの虜になるはず!

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これさえあれば、いつもの味が「おやっ?一味違う!」となるはず。和食はもちろんですが、パスタのソースでちょっとうまみが足りないな……って時にも大活躍ですよ。

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自然の素材だけで作った真昆布の商品は、子どもの食育にもうってつけです。そして水揚げが激減し、危機的な状況にある天然真昆布を、味わいながらみんなで学びましょう!

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