ナチュール&お好み焼きの聖地へ!
大阪ならではのナチュールな店をガチで巡る、『コニタン的まんぷくナチュール道 大阪ツアー』。この日、たまちゃんを後にし、すでに若干まんぷくなのも顧みず、「大阪人の大好物を食べとかんとアカンでしょ!」ってことでやって来たのは、ぼくが聖地と崇める名店パセミヤだ。
ココはお好み焼き&鉄板料理と、ナチュールの波状攻撃に酔いしれる店。日本中に、ナチュール&粉物をうたう店は数多くあれど、パセミヤは、三蔵法師と孫悟空が目指した天竺ぐらい巡礼者が後をたたない聖地であります。

「いらっしゃい、コニタン久しぶり!」「ヨッちゃん、チエさん、まいどです!」。 店主・中川ヨッちゃんと姉のチエさん。ふたりが醸すやんわりとした空気が好きすぎて、 大阪へ来るたびにおじゃましている。
いつもはハシゴ酒の終着地として、「ただいま~」って感覚で、飲んだ〆にナチュールとパセミヤのお好み焼きに酔いしれる……というワケだ。
「コニタン、いつものやつね」って、チエさんが目の前でじっくり焼き上げる「豚玉」 を眺めていると……。「結構飲んできたっぽいからコニタン、ペットナットはいかが?」って、ヨッちゃんがスッと注いでくれた一杯が、体中の細胞に沁み入るわ~! ジリジリと音を立てながら、香ばしさを増す豚玉を見ていると、もうそれだけでグラスを持つ手が止まらなくなる。

さて、ここでコニタンのナチュール・ポイント! 「ペットナット」とは、「ペティヤン (微発泡)・ナチュール(自然の)」の略称なのだ。野生酵母で自然な発酵を促しつつ、 発酵途中の果汁を瓶詰めしているの。もちろん糖類無添加だし、無清澄・無濾過。
ヨッちゃん曰く、「このボトルに至っては、亜硫酸も無添加です」って完全に無添加やん! すっぽんぽんのワインやん! ってことで、弱発泡のやさしさの中に、ブドウそのもののエキス感をしっかり感じます。ナチュール初心者の方でも楽しめるので、ぜひ!

豚玉が焼き上がる前に、ヨッちゃん手製の前菜盛り合わせが登場。コレ、和食の前菜かと思いきや、じつは、南インドの味!
大阪といえばスパイス料理の聖地だけど、スパイス好きの大阪の皆さん。ヨッちゃんが生み出す南インド料理はひと味もふた味も違う! 強すぎないスパイスの加減が絶妙なんですよ。辛いというよりは”薫る料理”。ナチュールは意外なほどスパイスと合うので、見事なまでに響き合います。
右端 「マグロのネパール山椒漬け」は一瞬、辛い? と思わせてじつは、ネパール山椒の清々しい香りが優しい一品。
そのお隣、「キュウリとミントのアチャール」は、キュウリの青っぽさとミントの清々しい風味が広がるのだ。ペットナットにもミントのような爽やかなニュアンスがあってね、相性バッチリ。お店で出るときは超ラッキーと思って楽しんでくださいね。
でも、そもそもなぜに、お好み焼き屋で南インドの味? とヨッちゃんに聞けば、「海外に目を向けると、バランスいい食生活を志向するシェフのレシピに、結構な割合でインドや中近東的な料理の要素が含まれることが多かったんです」。
体のことも考えてってのが僕ら客にとってもありがたいなぁ。野菜を中心とした組み立てで、スパイスやハーブを多用。過度なコクやうまみに頼らないから、ナチュールと絶妙に合うわけだ。「じつは、パセミヤのお好み焼きソースにも意外と合うのよね。コニタン、豚玉そろそろ焼き上がりますよ~」って、チエさん待ってました!



ハフハフ……頬張れば、表面はカリッと香ばしく、んもうめっちゃふわサクの食感! 生地は軽やかで、キャベツのピュアな甘みを感じるし、ソースの優しいうまみが手を繋ぐ。 しかもだ。このソースはケミカルな甘ったるさが全くないから、ブドウ本来のエキスをしみじみ感じるナチュールが、スーッと寄り添うワケ。
「コニタン、次の一杯はイタリア・ラツィオ州のオレンジワインをどうぞ」。って、ヨッちゃんナニコレ! やばい! ナチュールは、お茶だったり、りんごだったり、ももだったり、木の実だったりと、ほんと不思議なおいしさだけど、このオレンジは、紅茶みたいな香ばしさ!
しかもフレッシュな酸味が、ソースのスキッとした酸味とベストマッチやん…ってことで、手には、 グラスとコテとが行ったり来たり、ああいそがし。
あ、ちなみに、このサクサクサクサクふわふわり~なお好み焼きと超ベストマッチなのが、パセミヤ・オリジナルの「ワンダフルソース」。すべてをお店に合わせてオリジナルにつくるという奇跡のソースは、もう……やばい深みとうまみです。ここ、超まんぷくポイント!


ってわけで、後日、ぼくがこよなく愛する「ワンダフルソース」の製造現場へ突撃したのです!
すごいでしょ、この光景! 「ワンダフルソース」の製造には、大きな木樽を使っている。だから、ステンレスで発酵させるのと違い、すごくまろやかなソースに仕上がるの です。
じつは僕、このソースの、ナチュールに通ずる自然な味わいが好きすぎて、居ても立っても居られなくなり……、特別に連れてきてもらったのです!

「ワンダフルソース」を手がけるハリマ食品は、兵庫・尼崎の住宅街の中にありました。尼崎といえばダウンタウンの出身地!
この場所で昭和 39(1964)年創業。2代目の鎮西裕幸さんと奥様のマサ子さんが二人三脚で、ソースや醤油、ポン酢など10種類の調味料を、手づくりしているんです。
その中でも、ウスターソースと、濃厚ソースの2種が「ワンダフルソース」。製造には、先代が小豆島から持ち帰った木樽を、なんと創業当時から使い続けているらしい。「どや、この工場自体が、骨董やろ?」って鎮西さん。確かに(笑)。

ここでコニタン的ワンダフル・ポイント! じつは、阪神甲子園球場の「甲子園焼きそば」に 使われてるソースも、この「ワンダフルソース」!
しかも、何がすごいって、スーパーや小売店などでの一般販売は一切してないらしい。そこには鎮西さんのあくなき想いがあった。「飲食店や、取引先それぞれの要望を聞き入れ、オリジナルのソースをつくるんですわ」。
さらにすごいのは、すべてが手づくりであること。しかも、原材料を見てびっくり……保存料を一切使っていない! まさにナチュール!! だから一般的な商品と比べて賞味期限が短く、小売りには向かないんだとか。鎮西さんは言う。「体にえぇもんしか使うてへん。だからウチのソースは”医者いらず”やと思う」。

同行してくれてたヨッちゃん曰く、「オッチャン(鎮西さんのこと)、僕の親父の代から、 ずっと同じレシピでお世話になってますよね」。「そやなぁ、ウチの先代の頃からやし、 もう50年くらいちゃうか? パセミヤ用には濃厚ソースに、オリをブレンドしてるんや」と鎮西さん。
オ、オリをブレンドって、めっちゃ斬新! ウスターソースを木樽で寝かすときに出る沈殿物「オリ」を、ちょっと舐めさせてもらったけど、めっちゃ辛スパイシーで、キレのある酸味。これがパセミヤのお好み焼きソースの、甘辛い中にもスキッとした後味の、隠し味か……と納得しました。

「お家では、焼うどんや炒め物にも。シンプルに目玉焼きにかけてもおいしいんですよ」。 そう微笑むチエさんに続き、ヨッちゃんはこう言ってた。「オカンと親父の代からパセミヤのお好み焼きソースはこの『ワンダフルソース』。僕たちのルーツの味だし、 これからもソースのレシピは一切変えない。ずっとずっと、オッチャンには頑張ってもらわないと」。
そしてな、なんと!!! 今回の訪問のかいもあり、今回、普段絶対買えない「ワンダフルソース」が、「GOOD EAT CLUB」で数量限定で買えるようになりました! (ここまで読んでもらったかいがあるでしょ?)
パセミヤのお好み焼きに欠かせない「ワンダフルソース」。 これ見逃したら人生損する。少なくともぼくの人生には欠かせませんわ!
ナチュール好きは絶対ハマるソース。なぜなら野菜やスパイス本来の素材感が生きていて、保存料不使用だから。鎮西夫婦の手作りを徹底する姿勢に惚れた!